矯正治療に年齢は関係あるの?
矯正治療は子どもがするもの。
私は関係ない。
なんて思われている方が多いのではないでしょうか?
日本ではまだまだ矯正治療に対する十分な理解が広まっておらず、
年齢を理由に受診をためらわれる方が多いようです。
年齢を経ることで歯が動かなくなることはありません。
たしかに年齢を経るにつれて治療期間は少し長くなる傾向にはありますが、
年齢を経ることによって歯が動かなくなることはありません。
矯正治療を進める上で重要なのは、歯を支えている骨(歯槽骨)が健康であることです。
この条件さえクリアしていれば、矯正治療に年齢は関係ないのです。
もし歯周病などで歯槽骨に問題がある場合でも、
かかりつけの歯科医院、もしくは当院からご紹介させていただいた歯科医院で
治療をお受けいただければ、矯正治療を始めることができます。
矯正治療のメリットは見た目の美しさだけではありません。
年齢を経ていくにつれ、矯正治療をお勧めしても、
「今さら見た目を気にしたって仕方ない」とおっしゃられる方が増えてきます。
しかし矯正治療をお受けいただくメリットは、見た目の美しさだけではありません。
健康面でもメリットになることが明らかになってきています。
たとえば80歳で残った歯の本数と歯並びの関係性について、以下の報告が知られています。
「8020達成者の歯列・咬合の観察」(茂木悦子 著、日本歯科医師会雑誌、1999年)
という論文では、
8020(80歳で20本自分の歯を保つこと)達成者51人の噛み合わせを調査しています。
調査の結果は以下の通りです。
正常な噛み合わせの人 56.9%
出っ歯の人 17.6%
上下の前歯のかぶさりが深い人 25.5%
受け口の人 0%
前歯が上下に開いている人 0%
正常な噛み合わせの方が半数以上で、
受け口や、前歯が上下に開いている状態の方は1人もいなかった
という結果となりました。
歯並びが悪いことで歯を失ってしまう原因はいくつか考えられます。
① 歯みがきが難しいため、虫歯や歯周病になってしまう。
② 平等に噛む力が負担できず一部の歯だけ強く咬んでいるため、
強く咬んでいる歯が過剰負担になってしまう。
③ 前歯が出ている方は、スポーツなどで折れてしまいやすい。
こうした問題を解消するためにも、早めに治療をお受けいただくことが必要なのです。
また、日本歯科医師会が公開した歯科の医学研究に関する国内外の研究をまとめた報告書
「健康長寿社会に寄与する歯科医療・口腔保健のエビデンス2015」
によりますと、
残った歯の本数が少ないほど寿命が短くなり、
認知症の発症率が上昇することが明らかとなってきています。
日本歯科医師会「健康長寿社会に寄与する歯科医療・口腔保健のエビデンス2015」より
このように、矯正治療は将来にわたる健康にも重要な役割を果たします。
年齢に関係なく矯正治療についてご相談ください。
下のお写真は、50歳から治療を始められた患者様の治療例です。
最近では、矯正治療を始められる方の平均年齢が上がっているようです。
日本人の平均寿命は男性で80歳、女性にいたっては86歳にもなります。
その間、ご自身の健康な歯で美味しく楽しく食べる。
しっかり噛んで食べるので認知症知らず。
いくつになっても健康でいられるお手伝いを
矯正治療がさせていただければ幸いです。
当院での50歳女性の治療例